Column 家づくりコラム

ヌックのある暮らし

近年、住宅の設計において「ヌック(nook)」という概念が静かな注目を集めています。

しかし設計の視点から見ると、これは単なる空間の“あまり”ではなく、むしろ人の行動や感情に寄り添うための

「意図された余白」と捉えることができます。

 

設計者としての視点で見ると、ヌックは「スケールの操作」によって生まれる空間です。

LDKという大きく、解放感のある空間に、あえて人ひとりがこもれる程度の小さなスペースを埋め込む。

それによって、空間にメリハリと奥行きが生まれ、住まい手にとっての居場所が増えていくのです。

 

 

たとえば、階段下や窓際のデッドスペース。

従来であれば収納や何も置かれない空間になりがちですが、そこにベンチや読書灯を設えることで、

ぐっと人の気配を感じられる場所へと転換できます。

 

ヌックが心地よいと感じられる理由のひとつに、「包まれ感(enclosure)」があります。

これは建築心理学において、人が安全・安心を感じる空間スケールとして注目される要素です。

特に現代の住宅はオープン化が進み、視線が抜けるプランが主流となりましたが、

同時に「どこか落ち着かない」という感覚を持つ住まい手も増えています。

 

そうした中で、ヌックのような物理的にも視覚的にも囲まれた空間は、意図的にスケールダウンすることで、

住む人に「ここは自分の場所だ」と感じさせる効果を持ちます。

これは子どもが押し入れや段ボールの中に入りたがるのと似た感覚かもしれません。

大人だって、時には外の世界から少し距離を置いて、心をリセットする時間が必要です。

 

ヌックは、単なる機能的な空間ではなく、「余白の中に居場所をつくる」という思想そのものです。

設計者にとっては、効率や導線といった機能美だけではなく、感情や時間の流れに寄り添う空間を考える機会でもあります。

特に都市型住宅のように限られた面積の中で設計を行う場合、ヌックは「面積を持たない豊かさを生み出す装置」になり得ます。たとえば、廊下の途中の腰掛けスペース、窓の奥行きを活かした書斎コーナー、さらには天井高や照明の工夫による“光のヌック”など、アプローチはさまざまです。

 

設計とは空間をつくる仕事であると同時に、人の時間の質をデザインする行為でもあります。

ヌックは、住む人がふと立ち止まり、自分の内側に戻るための「時間のゆとり」を与えてくれます。

それは読書のための時間かもしれないし、朝の光を感じる瞬間かもしれません。

その小さな時間が、暮らし全体の“質”を底上げしてくれるのです。

 

設計の中にヌックを組み込むことは、単に「隅にスペースを足す」ことではありません。

それは、人の感覚に寄り添い、暮らしの中の「間(ま)」をデザインすること

 

家のどこかに、そっと心が安らぐ居場所を設ける

──それが、現代の住宅設計におけるやさしさの表現かもしれません。

 

 

施工事例を紹介

※こちらは実際にハウスイズムが手掛けた、建築事例をご紹介します。

 

趣味を楽しむバイクガレージのある家

玄関扉の横と軒天にレッドシダーを張った、窓の形や配置、色のバランスなどがお洒落な外観。

 

リビング横に設けたヌックなど、家族が自然とリビングのまわりに集まる住まい。

2階リビングは採光の確保に有利なだけでなく通りからの視線もカットできる。

 

 

木のぬくもりとアイアンの黒が絶妙のマッチングを見せる空間。

モデルハウスのような美しいLDK。

 

こちらの施工事例を見る>趣味を楽しむバイクガレージのある家

 

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