ZEH基準の家とは?神奈川の気候ではどうなる?基準を詳しく解説
- Category:家づくりコラム
持続可能な社会を実現するために、国も積極的な普及を呼びかけているのがエネルギー収支ゼロの家、いわゆる「ZEH(ゼッチ)」です。省エネ住宅は、2030年までにZEH水準の基準が求められると発表され、さらに関心が高まっています。
似たような言葉の「ZEH」と「ZEH水準」ですが、実は定義が異なるものであるのをご存じでしょうか?特にマイホームを検討中の方にとっては、これからの家づくりに大きく関わるものですので、違いを正しく把握しておきましょう。
今回はZEH基準を中心にZEHとの違いや地域ごとの区分、さらにZEH基準の家づくりのポイントについて解説します。これからの省エネ性能に合ったマイホームを建てたい方は、ぜひ参考にしてください。
ZEHとZEH基準(ZEH水準)の違いとは?
まずは「ZEH」と「ZEH基準」の定義の違いを抑えておきましょう。
ZEHとは?
ZEHとは「年間エネルギー収支ゼロの家」を意味するネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(Net Zero Energy House)の略。次の3つの要素が必須です。
- 外皮性能:住まいの断熱性能を高めて、必要な冷暖房エネルギーを減らす
- 省エネ:高効率設備を用いて、消費エネルギーを抑える
- 創エネ:太陽光発電などエネルギーを創る設備で、年間エネルギー収支をゼロに
「減らす・抑える・創る」の3つの取り組みを通して、一年間で消費するエネルギー量を実質的にゼロにします。
ZEH基準とは?
一方「ZEH基準(ZEH水準)」という際には、太陽光発電などは必須ではありません。
住まいの省エネ性能を評価する「断熱等性能等級(断熱等級)」や「一次エネルギー消費量等級」といった項目において、一定レベルを満たしたものが「ZEH基準」の住宅ということになります。
ZEH水準
- 断熱等級5
- 一次エネルギー消費量等級6
ZEH基準で達成すべき断熱性能
断熱等級を決めるのは「UA値」と「ηAC」という2つの要素です。
・UA(ユー・エー)値:住宅の内部から、どれだけの熱量が外部へ逃げているかを示したもの。値が小さいほど断熱性能が高いことをあらわす。
・ηAC(イータ・エー・シー)値:冷房期の中で、住宅にどのくらいの日射熱が入るかを示したもの。値が小さいほど遮熱性能が高く、省エネにつながる。
ZEH基準(断熱等級5) | ||||||||
地域区分 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
UA値 | 0.4 | 0.5 | 0.6 | – | ||||
ηAC値 | – | 3.0 | 2.8 | 2.7 | 6.7 |
このように断熱等級は、「地域区分」ごとに求められる住宅の性能値が変わります。例えば、横須賀市は地域区分7なので、ZEH基準を目指すならUA値0.6、ηAC値2.7の基準が求められるということです。
地域区分とは?
南北に細長い国土を持つ日本では、雪の多く降るエリアから温暖なエリアまで、地域によって気候に特徴があります。平均気温はもちろんのこと日照条件も異なりますので、空調を使う機会によって消費エネルギー量も変わってくるでしょう。
この違いを考慮して設定したのが、地域区分。
北海道から沖縄県までを8つの地域に分け、それぞれに目標とする省エネ基準を設定しています。
画像出典:国土交通省 | 「建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」
北に向かうほど冬場の暖房によるエネルギー消費が増えるため、断熱窓の採用や建物の高断熱化といった厳しい省エネ基準が設けられます。ZEH基準の家づくりを進めるなら、自分たちが家を建てるエリアがどの地域区分に含まれるのかを、正しく把握しておきましょう。
海と山も魅力的な神奈川県の地域区分は?
地域区分は、その土地の気候風土に適した基準が設定されているため、同じ県でも地域によって区分が異なります。海と山、それぞれの魅力的な風土がある神奈川県を例に見てみましょう。
地域区分 | 市町村名 |
5 | 山北町、愛川町、清川村 |
6 | 横浜市、川崎市、相模原市、平塚市、鎌倉市、小田原市、茅ケ崎市、逗子市、秦野市、厚木市、大和市、伊勢原市、海老名市、座間市、南足柄市、綾瀬市、葉山町、寒川町、大磯町、二宮町、中井町、大井町、松田町、開成町、箱根町、真鶴町、湯河原町 |
7 | 横須賀市、藤沢市、三浦市 |
比較的温暖な気候の神奈川県でも、山間部や海沿いのエリアは区分が異なります。市町村によって区分は細かく分かれるため、注意してくださいね。
ZEH基準は2030年までに新築のスタンダードに
なぜ今こんなにも「ZEH水準」という言葉が話題になっているかというと、法改正が背景にあります。
これまで日本では、断熱性能などに基準はあったものの、義務ではありませんでした。いくら暖房をつけても寒く、莫大な光熱費がかかってしまうような家でも、建てること自体はできたのです。
ところが、2025年4月以降に建てる新築住宅では、省エネ基準(断熱等級4)への適合が義務化されることに。この最低ラインは徐々に引き上げられる予定で、2030年までにZEH水準(断熱等級5)まで高める指針が国から発表されました。
つまり、今後は「ZEH基準がスタンダード」という時代がやってくるということ。周りがZEH基準の家ばかりになれば、ZEH基準に満たない家の資産価値は維持しにくくなるでしょう。
すでに住宅ローンでも、住宅ローン減税を利用する場合の借入限度額が建物の省エネ水準によって変わるなど、明確な区別が始まっています。
ZEH基準の家づくりのポイントは?
ZEH基準の家づくりを進めるなら、工務店やハウスメーカーの選び方も大切です。依頼先を考えるときの、2つのポイントを紹介します。
標準仕様で断熱レベルがどのくらいかを確認する
断熱性能の高さは、これからの家づくりでもますます重視される基準です。そのためこれから家づくりを進めるなら、標準仕様の断熱性能にもこだわって依頼先を選んでみましょう。標準でZEH基準の断熱性能が備わっていれば、オプションでの金額追加がないため、全体の建築コストも把握しやすいです。
断熱性能を重視するハウスイズムでは、ZEH基準が標準仕様。資金計画も立てやすく、安心してご検討いただけます。
設計士との距離の近さを大切にする
住宅性能はもちろんのこと、快適な家づくりでは使いやすい家事動線や好みのデザイン、たっぷりとした収納などもこだわりたい部分です。設計士に直接希望を伝えられれば、イメージをさらに形にしやすくなります。
注文住宅の醍醐味は、こだわりのデザインや使いやすさをはじめ、優れた住宅性能といったすべての希望を形にできること。相談しやすいパートナーとして、設計士と一緒に家づくりが進められるところを選びましょう。
ハウスイズムの設計士と叶えるZEH基準を満たす家づくり
これからマイホームを建てるなら、ZEH基準への適合はぜひ検討していきたい性能です。
神奈川県内を中心に注文住宅を手掛けるハウスイズム建築設計事務所は、ZEH基準の断熱性能を標準搭載。さらにZEHの普及を目指す取り組みとして、2019年度にZEHビルダー/プランナーに登録。2025年度は自社での受注住宅のうち、50%のZEH達成を目標にしています。
ハウスイズムが大切にしているのは、神奈川県の気候風土をよく知る設計士が、お客さまと一緒に家づくりを進めていくこと。お客さまのご希望を丁寧に伺いながら、設計士が建築のプロの視点で理想を形にしていきます。神奈川県内で建築士と共に理想の家づくりを叶えたい方は、ぜひハウスイズムへお気軽にご相談ください。